胃カメ人間

ピスィーッ。ピスィーッ。(油の切れた自転車)

2週間ほど、胃痛でご飯が少量しか食べられない状態が続き、流石にしんどいということで病院で検査をしてきた。食後にみぞおちと脇腹の方が痛み、調べると逆流性食道炎っぽい症状だったが、念の為で胃カメラをしてもらった。実際に逆流性食道炎で、食道側の粘膜が胃の粘膜に置き換わっていたらしい。そこって置き換われる仕組みなんだ、と思った。

こういうのを過剰に心配する人間のため、実際に診断するまで胃潰瘍とかだったらどうしようと思って「胃潰瘍 症状」とか調べまくった。正味胃に関する病気なんて食道炎から胃がんまで同じような症状なので、しまいには胃がんな気がしてきて焦りが増して終わった。

2週間通して全身しんどかったため、「転生したらスライムだった件」をひたすら眺めて耐えていた。しんどい時に寝続けることができないたちで、ただ起きているからといって作業ができる体調でもなく退屈で、ひたすら脳にスポーツドリンクみたいな情報を流し続けて難を凌いだ。ありがとう、転スラ。これがなければ退屈と胃痛と不安で脳がバラバラになるところだった。

転スラって全然内省的な人間が出てこないな。だから見やすいのだろうか。反省や改心の描写はあるが、こうしようという具体的な方針が一度決まるとそれをみな機械のように実行していく。この切り替えにスッキリしたものがある。ずっと自意識の話をしている作品は嫌いじゃないが、病気の時には見られない。

近くの業務用スーパーに「桃の花あります」という看板が立っていた。レジスタンスは生きていたのだ。いつか雑貨屋でも開くなら、同じ看板を掲げたい。